生産スケジューラベンダーの暗影から抜け出せ

Asprovaとのメール交換の中から、気になるところを抜き出してみます。

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質問;「生産計画スケジューラは、あらゆる生産形態、生産状況に適応できます」といっているが本当か?

Asprova回答;弊社は現実と理想の中間点でシステム化する事をお勧めしており100%を目指していないところはあるかもしれません。どんな業種でも生産計画は立てていますが完璧な計画は立てられていないので、少しでも計画業務を軽減する事を目指しています。従って、10%でも効果があればできると言っている面はあると思います。
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なんとも歯切れの悪い回答ですが、
「10%の計画業務軽減ができれば良し」。

軽減できるのは計画業務だけ? それも10%だけ?

Asprovaのホームページには、
「計画通りに、無駄無く、効率良く」“現場のニーズ” に全てお応えできます
ってありますけど、、。

すこし、好意的な目でみてみましょう。一連のAsprovaの説明の中には、効果を出すための様々な改善努力がされているようです。そのかいもあってか、導入実績も国内外合わせて3000社を超えているとのこと。素晴らしい実績です。

意見交換の中では、「根本的には変わっていない」と認めています。Asprovaがスタートしたのが1994年だそうで、20数年たっても計画改善効果は10%のまま。なら、90%のケースは効果なし。ザックリですけど、27,000社(ケース)ではうまくいかなかった、、ということ?しかも、計画業務の軽減だけ?

誇大広告の実態がみえてきました。罪悪感はないんでしょうか。でも、Asprovaの対応は真摯的でしたからね~。そのようには感じられませんが、ねぇ~。

“度を越した誇大広告”は問題視されそうですが、まぁ、100歩譲りましょう。宣伝だから“いいかっ”。ただ、なりふり構わぬ宣伝文句に、何とはなしの“哀れさ”を感じてしまいます。

じゃ、問題はなんだ?

「生産スケジューラベンダーは、製造企業に正しい情報を発信していない」

ことです。導入できた企業よりできなかった企業数が圧倒的に多い。導入できなかった企業も、①資料検討の段階で判断した企業もあれば、②大がかりな導入プロジェクトを立ち上げて検討した企業、そして、③実際導入してみたがうまくいかなかった企業、④最初はうまくいったかにみえたが、維持・運用ができず、数年後にダメになった企業、、などなど、様々でしょう。①や②はいいとして、③や④は相当の労力・費用・時間、、がかかり、経営上大きな負担となります。

もちろん、正確な実態はわかりません。このようなことに関して、生産スケジューラベンダーが情報発信することはありませんので。但し、生産スケジューラの導入がうまくいかない、どうすればうまきいくか、といったことに関しては、生産スケジューラベンダーは頻繁にセミナーを開き、生産管理のコンサルタントはいろいろな改善策を提案し、努力している。それは認めます。

だったら、よくなっているのでしょうか。

Asprovaとのメールのやり取りは、そのあたりの実態を知るチャンスでもありました。ポイントにしたことは、Asprovaは、生産スケジューラの導入ができるかどうかの基準を一般の企業に分かるような形で提示しているのかどうか、です。その基準さえはっきりしているのであれば、仮に10%のケースでしか使えなくても、事前の検討段階で有効かどうかがわかります。多大なムダとなる前記の③や④を防ぐことができる。

Asprovaの説明の中に“生産スケジューラの導入ができるかどうかの基準”らしきものがあるのか、切り口を換え、いろいろ質問してみました。出てきません。AsprovaのWebsiteの隅々まで探してみました。見つかりません。

顧客が一般消費者なら、「景品表示法」にひっかかりそうです。法律は素人でよくわかりませんが、企業(法人)が顧客の場合はいいのかな。だとすれば、生産スケジューラを使う企業側で気をつけなきゃいけないんでしょうね。

今回は、生産スケジュールベンダーとして、AsprovaとFlexscheを取り上げましたが、日本には、他にも生産スケジューラベンダーはたくさんあります。きちんと数えたことはありませんが、30社、40社、、いやもっと多いかな、、。イプロスを覗いてみると、いっぱいあります。中には日本を代表する企業名もいくつかあります。

この生産スケジューラを販売している企業のほとんど、いや、あえて言えばすべての企業の宣伝は、AsprovaやFlexscheに劣らぬ「誇大広告」です。「誇大広告」の見本市よろしく、、。歪んでますね。健全じゃありません。

米国では、ここ20年で生産スケジュール専門ベンダーは姿を消しましたが、日本では逆に増えました。失われた30年と重なるんです。単なる偶然でしょうか。そうでもないような気がしてしょうがありません。

日本製造業の発展の阻害要因になっているのではないか、、。

工程の手空き時間とワーク(オーダ)の待ち時間の識別もできない。生産スケジューラが使える条件もわからない。そんな状態で生産スケジューラを開発し、販売する日本の生産スケジューラベンダー。その知的・技術的レベルの暗影から、早く抜け出さなければ、、。

DPM研究舎