「Asprova解体新書」の【コラム】で気になるところ

「Asprova解体新書」を読み始めると、
生産スケジューラは絶対に無理
その理由は、
マスタデータの作成と維持が困難である
米国はその後、生産スケジューラの失敗の後遺症から立ち直っていない
という記述で立ち止まってしまいました。ネガティブな位置からはじめる方が説明がしやすいのかもしれません。この本には、これらに対する反論というか、Asprovaは違うよ、ということが書いてあるはず。そんな期待を持ってしまいます。

本の内容は、大部分はAsprovaの取説。ところどころに生産管理や在庫管理の説明があり、そして【コラム】として、顧客企業への訪問記や自慢話が挿入されています。その中から、気になるところを抜き出してみます。

27ページ
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【コラム】自動車部品工場の生産スケジューリング・・・生産準備
・・・数年前に生産スケジューラを導入し、うまく稼働しているということで今回訪問することになった。・・・
 この工場では生産スケジューラは使用しているが、まだフル活用はできていないと話している。すなわち、生産スケジューラのスケジュール結果を用いた生産指示が出せていないということだ。
 ・・・何に役立てているかというと、生産準備である。・・・生産準備の主な仕事は、①内示情報から所要量を計算して原材料、外注の手配をする、②内示情報から工場の負荷状況をチェックする、ことである。

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似ている記述が、、、

36ページ
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【コラム】かんばん方式を導入した工場でも、生産スケジューラによる所要量計算が必要
・・・トヨタ生産方式によるカイゼンでも、・・・原材料の購買の計算をMRPで行っていると、原材料の在庫削減には限界がある。そこで生産スケジューラを導入して原材料の所要量、タイミングを最適化するのである。この場合、生産スケジューラが作成した作業指示の詳細データは、使われないかもしれない。・・・

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またまた、同じようなことが、、、

56ページ
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【コラム】金型工場の生産スケジューリング・・・BOMに誤差はあるが、生産の「見える化」が進んだ
 生産スケジューラの導入が完了し、成功裡に稼働している工場を訪問した。・・・工場見学すると、工場には生産スケジューラで立案した結果が印刷して貼られていた。生産スケジューラは、細かい作業指示を出すのが本来の機能であるが、この工場では、細かな生産指示を現場には出していない。各マシンへの作業の割付けと負荷量のグラフを表示していた。後は状況に応じて実際の作業を行うということである。

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3つのコラム。いずれも、生産スケジュール本来の機能(細かい作業指示を出す)は使わずに、生産の準備とか、原材料の所要量計算とか、マシン作業の割付け表示とかに使っているっていうことのようです。実際の作業の進め方は現場に任せてあるとのこと。

似たような話、前にもありました。2019年12月のBlog「生産スケジューラ;ベンダーの宣伝に踊らされるな!」でも、生産スケジューラを導入して、かえって混乱したという事例を紹介しました。解決策は、「ネック工程は人間が手作業できめ細かく管理し、前後の非ネック工程はスケジューラで計画作成」。肝心のネック工程は人間の手作業、余裕がある工程はスケジューラを使用、ということです。

なんか、変だと思いませんか。逆ですよね。きめ細かな作業指示こそ生産スケジューラを使うと思ってましたが。現実は、逆。

コラムに3回も出てくるということは、そして、他の事例でも似たようなものがあるということは、生産スケジューラの機能と何等かの関係がありそうですね。

もうひとつ、【コラム】から抜粋。
51ページ
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【コラム】ショックアブソーバ工場の生産スケジューリング・・・生産リードタイムを劇的に短縮した
 ・・・ショックアブソーバの生産工程は金属加工など40から50と長く、生産リードタイムも2カ月かかっていた。生産スケジューラで実データを登録してスケジュールしてみた。・・・
 そして、結果を見て驚いた。生産スケジューラのガントチャート上で、生産リードタイムが2週間となっている。「えっ、そんなバカな?」と担当者。でも、ガントチャートをしばらく詳細に眺めていると「やはりこれは本当だ。2週間でつくれる!」とつぶやいた。生産リードタイムが1/4になった。私も驚いた。「でも、工場長には言えないなあ。だって今まで何をやっていたんだ、と叱られちゃう」とのことだ。

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生産スケジューラの最も代表的な改善項目は生産リードタイムの短縮。リーダタイムが1/4になるなら、前の【コラム】ではなぜ、生産スケジュール本来の機能は使わずに、生産の準備とか、原材料の所要量計算とか、だけに使うのか。穿った見方をすれば、生産スケジューラから出る作業指示通りには作業ができないのではないか。とすると、問題は、リードタイムが1/4となったスケジューリングの実現性というか、実行可能性というか、、はどうなのか。リードタイム2カ月と2週間の差は何なのか、、。

出口はまだ、見えません。

DPM研究舎

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