コンサルタントの詭弁を見抜け!

“一気通貫生産方式”とやら、、なんか、いいこといっぱい書いてあります。生産現場で悪戦苦闘している方々の中には、もしかすると、、、と期待を抱く方もいらっしゃるかもしれません。“一気通貫生産方式”の詭弁を見破る方法は簡単。“基本原理”をみればすぐわかります。いやいや、 “基本原理”そのものがないんですよ、“一気通貫生産方式”の場合は。検討する価値もなし、かな。“一気通貫生産方式”だけではなく、APS(先進的スケジューリング)も同じ穴の貉(むじな)。こちらは“基本原理”らしきものはあるようなんですが、具体性がなく、実現の可能性はほとんどなし。結局、机上の空論のまま、、。

実は、生産管理、在庫管理の分野では、一気通貫生産方式やAPSだけではなく、基本原理が怪しい“方式”や“考え方”がたくさんあります。誇大な美辞麗句に包まれていますので、一般の方には、その“怪しさ”はわかりにくいんではないかと思います。

巷では、誇大広告は昔からあって、一般の商品では消費者保護のため、様々な規制が設けられるようになってきました。消費者の評価、評判もWEBで簡単にみることができるようになりました。もちろん抜け穴もあり、完璧とは言えませんが、見張り役がいることで少しは安心できます。で、生産管理、在庫管理の領域ではどうでしょうか。

生産管理、在庫管理の領域では、一般企業が顧客。売り手はコンサルタント。で、コンサルタント会社のWebsiteをみると、すぐにでも問題が解決するかのような説明がいっぱい。中にはまともなことも書いてあるんですが、明らかに“うそ”だ、と分かるものも結構ある。ところが、規制もなければ、消費者(顧客企業)側の評価もあまりありません。あっても本音かな、と思うものばかり。

よく、「コンサルタント会社が勧める方法が“ダメ”なら、結果が出るわけないから、淘汰されてゆくはず。市場の浄化作用が働きますよ」、、というご意見を聞きます。また、「工場では目の前で行われていることなので、現実と照らし合わせてみれば“うそ”か“本当”かの判断は簡単につくのでは」、「だから、“うそ”情報が紛れ込んだとしても、すぐになくなるんじゃないの」、と反論されます。

実際はどうなんでしょうか。コンサルタント会社のWebsiteにあるたくさんの導入事例。失敗事例はあまりなく、ほとんどが成功事例。宣伝も巧妙になってきているようです。本当に有効な評価情報が発信されているかとなると、クエスチョン・マークが付く。 “まゆつば”ものが多く、うさん臭いものが多くなっているのか、企業側もコンサルタント会社の言うことを素直に聞かなくなってきているように思います。

自分の職場で、実験で確かめてみようとしても、そう簡単ではありません。自分の担当範囲だけではダメで、工場全体さらには営業や部品納入先まで巻き込まなければならない。慣れ親しんだ方法をちょっと変えるだけでも大変です。コンサルタントの言うような方法を正確に再現することもままなりません。

コンサルタント会社の宣伝文句と懐疑的な顧客企業の間で、正偽が入り混じった情報が行き場を失い、滞留しているようです。ここ20年、ずーっと、ですね。コンサルタント会社の情報のレベルは上がらず、顧客企業側の評価能力も上がらず、失われた10年が20年になり、もはやそれが常態化している。停滞している生産管理、在庫管理の現状をものがったっているように感じます。

私事で恐縮ですが、私の職歴はほとんどが生産現場です。私が現役のころは、つくれ、つくれの右肩上がりの時代。今の生産環境とは異なります。生産管理、在庫管理のレベルも今と比べれば相対的に低く、専門家、学者、コンサルタントの発信情報はそれなりに有益だったと思います。しかし、生産環境がガラリと変わった今も、専門家諸氏の発信内容は、流行(はやり)ことばがちりばめられてはいますが、基本的なところはさほど進化しておりません。

企業の生産管理、在庫管理の進化も停滞したままか、というと、そうでもありません。ICTの進化とともに、企業グループごとに、業界ごとに格段に進歩しているのではないでしょうか。ところがこの進歩の程度が、企業規模や業界によって千差万別、ピンからキリまで。先端を走る企業が、巷のコンサルタントの話に耳を傾けることはありません。逆に、コンサルタント諸氏は企業のICTの先進情報を入手するのに躍起になっているのではないでしょうか。

陳腐なコンサルタント諸氏の情報も役立たず。中小企業やICTの進化に取り残された企業は、どうすればいいんでしょうね。企業数としてはこのような企業の方が圧倒的に多いのに。

コンサルタントの技術レベルが追い付いていないという問題の他にもうひとつ問題があります。こちらの方が深刻かもしれません。コンサルタントの基礎知識が驚くほど貧弱なんです。最近のICT技術に長けていても、生産管理、在庫管理の基礎理論が“ダメ”では、“何をか言わんや”。基礎理論の知識のないコンサルタントから出てくる“珍説”の被害を受けるのも中小企業。それを防ぐ方法があるのか、というと、必ずしも有効な方法があるわけではありません。あなたの会社はどうしてますか。

コンサルタント会社と顧客企業の間によどむ正偽混淆の情報の質を上げる必要があるのではないでしょうか。そのためには、何が“正”で、何が“偽”かを識別することが重要ではないか、と思います。

正偽を識別する拠り所は、正しい“理論”です。コンサルタント諸氏は自己の説が“正しい理論”だ、と主張するかもしれません。いろいろな説が乱立することになります。

幸いにも、生産管理や在庫管理の仕組みは、物理現象である、と言えることです。もちろん純粋な物理現象とは言えないかもしれません。生産管理や在庫管理では、人間の邪心が入り込むことが多く、むしろ、人心を管理することに重きが置かれるぐらいです。しかし、ものを加工する生産ライン、在庫を保管し入出庫する動きの基本的な部分は、人為では変えられないところがあります。それは、物理現象である、とみることができるのではないでしょうか。

物理現象には普遍性があります。どのような生産ラインでも、どのような在庫管理環境でも成立する基本的、原理的な部分です。つまり、生産・在庫管理の基本的メカニズムを物理現象として捉え、それが巷にあふれる正偽混淆の情報を正しく判断する基準となるのではないか、と考えているところです。

コンサルタントの詭弁に惑わされず、自社に最適な生産管理や在庫管理の仕組み構築にお役に立てられるよう、そんな視点から、“思い”を綴ってまいりたいと思います。

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