在庫管理の専門家はいないの?

生産管理・在庫管理関連の書やWEBの解説をみていると、ときどき、これは “うそ”じゃないの? と思うくだりを目にします。それで始めた“うそ発見”。まぁ、うそが多いといっても、3~4回も続けばいいかな、って思って始めたんですが、、。で、“うそじゃないの?”と思うものだけじゃなく、“意味不明”、“理解不能”、、、など、次々見つかり、これって、どう見ても正常じゃないよね、って思い始めたんです。“うそ発見”なんて言って、遊んでいられません。

生産管理まで含めると範囲がひろくなりすぎるので、ここでは在庫管理に絞って、“うそ”、“意味不明”、“これ、なにっ”っぽい文言、記述、説明など、すでに取り上げたものも含めて列挙してみますと、、
(ア) 安全在庫の古典理論計算式は科学的な誤りであることが判明しました。
(イ) リードタイムを、0.5ヶ月、2.3日、、、などと数えて安全在庫を計算するのは論理的な誤りです。
(ウ) 1日あたり平均出荷量を算出するときは、出荷のない日は除く。
(エ) 「倉庫を集約すれば在庫は減らせますよね」と聞かれることがあります。答えは「No」です。
(オ) 昨日までの出荷状況と在庫実態データで確認して、今日の発注を行うというのが、不定期不定量発注法の基本形です。「不定期不定量発注法」が最も変化対応力の強い方法です。
(カ) 適正発注数量の計算に必要なデータとは? ①商品コード、②朝の在庫予測、③前日の在庫残、④発注数、⑤入荷予定、⑥当日入荷、⑦出荷予測、⑧当日出荷、⑨夕の在庫予測、⑩当日・在庫残、⑪過去4日の平均出荷、⑫適正在庫数、⑬適正在庫不足数=当日出荷残(⑩)―適正在庫数(⑪)、⑭日別の在庫日数、⑮在庫日数計算式
(キ) 定期発注の場合の安全在庫の計算式  安全在庫=安全係数x標準偏差x√在庫日数、在庫日数は、各社の戦略や事情に合わせて設定します。
(ク) 、、、

まだまだあるんですが、、。どれもこれも、在庫管理の専門家、コンサルタントとおぼしき方々の“おことば”です。市井の在庫管理論志学者の大部分の方々は、これらの“おことば”を正しいと思い、受け入れるでしょうね。はなから、“うそじゃないの?”という御仁は、よっぽどの、へそ曲がり。普通の人は、このような情報で在庫管理を学ぶわけですよ。

この違和感は、同じ生産現場でおなじみの品質管理と比べると分かりやすいんじゃないかと思います。品質管理は統計的品質管理と呼ばれるように統計学をベースとして、理論体系されています。理論と実際の違いはところどころあっても、理論体系がしっかりしているため、前掲したような“疑問”はあまりないように思います。

品質管理と比べて在庫管理。在庫管理の理論体系って、あるんですかね。関連ありそうな学問は、統計学、待ち行列理論、、、えーと、あとは何かありますかね、、。そんなもんでしょ。

在庫管理の専門家、コンサルタント称している人たちのバックグランドをみてみますと、ザックリと物流、システム、生産管理に大別できるようなんです。物流って、在庫を介して物品を流通させる技術。在庫を介しないのであれば、物流ではなくて、単なる運送。ですから、物流屋さんは在庫に触れざるを得なくなるんでしょうね。物流屋さんの在庫論は、大雑把。理論の香りもしないぐらい雑、、ですね。システム屋さんの在庫論は、MRPのにおいがプンプン。平たく言えばバッチ処理思考。それを多品種・少量・受注生産にも適用しようともがいているって、感じ。生産管理屋さんも頭がカチカチ。「生産計画は毎日変更せよ」なんて言ってんですからね。

で、簡単に言うと、バックグランドの違いはあっても、在庫管理に関する情報発信者の共通項は、ベースとなる統計学や待ち行列理論の素養が、まったくとは言わないまでも、十分とは言えないレベルである、ということじゃないか、な。前掲した“怪しき言葉”の発信者、その中には在庫管理関連の書籍を数冊出している方もいます、それから日本を代表するシステムメーカの担当者、物流コンサルタント会社の担当者など数名に直接、聞いてみたんですがね、、。返事の“的外れ具合”と言ったら、唖然として、思考休す。質問の意味さえ理解できない方もいらっしゃったりして。

在庫管理は、つまり、物流屋さんやシステム屋さん、生産管理や工場管理のコンサルタントが片手間に扱ってきたんじゃないかって、思うんですよ。それぞれの立場からみたそれぞれの在庫管理論を展開する。どれもこれも“的外れ”っていうのは、そういうことが遠因になってんじゃないかって、思うんですがね。

でも、これって、見方を変えれば、在庫管理が飛躍的に改善される可能性があるってことかも知れない。それを実現するのは誰か。物流屋さんやシステム屋さん、生産管理や工場管理のコンサルタントなど、自分のバックグランドに縛り付けられ、柔軟な思考ができない人よりは、サプライチェーンのリンクで働く市井の人たちに期待する方がいいのかなーって。

何はともあれ、在庫管理が激変する兆しがみえてきました。

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